ウッドデッキを庭に設置している家は、少し前から比べるとずいぶん多く見かけるようになったと思いませんか?一昔前はかなりおしゃれなイメージがありましたが、今はバーベキューをしたり、団らんの場所になったりと、一般的な家庭の庭にもすっかり溶け込んでいる雰囲気があります。
木製、もしくは木製ふうの材質であるウッドデッキは、ナチュラルで癒しがある一方で、湿気の多い気候である日本においては適切なメンテナンスを行わないと、劣化を速めてしまいます。
補修でもまかないきれなくなったときには解体することになりますが、果たして業者に頼まなくても自分自身で解体することは可能なのでしょうか。費用節約などを考えると、できるなら自分で行ってみたいですよね。
今回は、ウッドデッキをDIYで解体する注意点について見ていきましょう。
解体を検討すべきウッドデッキ
設置後20年を過ぎている
ウッドデッキは素材によって耐久性が変わり、それによって寿命にも差が出てきます。防水加工や防虫加工を施したイタウバやフィエラなどの「ハードウッド」は比較的寿命が長く、こまめにメンテナンスを行っていれば20年程度もたせることも可能です。
一方で「ソフトウッド」と呼ばれる杉や松は、長ければ15年ほどもちますが、短いと3年ほどで寿命を迎えます。
環境や使い方、メンテナンスのしかた次第でも、耐久性に違いが出てきますが、いずれにしても設置後20年を過ぎようとしているウッドデッキは非常に危険な状態といえます。外見上そんなに問題はなくても、内部で劣化している恐れもあるからです。
ハードデッキであっても、15~20年をめどに解体を検討するのがいいでしょう。
老朽化の症状が出てきた
ウッドデッキは木材であるため、木材の腐食により不具合が出てきます。以下のような症状が出てきたら、見た目にはあまりわからなくても内部で腐食が進んでいる可能性があります。
・ひび割れが増えてきた
・体重をかけるとギシギシ音が鳴る
・体重をかけるとたわむ場所がある
・デコボコしてきた
・塗装が剥がれ落ちるようになった
補修で済む場合もありますが、程度にもよります。特に前述したように設置後の年数がそれなりに経っているのであれば、解体を検討した方がいいでしょう。
シロアリ被害が発覚した場合
ウッドデッキは木材なので、シロアリの格好の餌食となりやすい点にも注意が必要です。
不自然な劣化・穴・盛り上がりを見かけた場合には、すでにシロアリが巣食っていると考えてほぼ間違いありません。防虫剤などでどうにかできるものではないので、すぐにウッドデッキの解体を行うことをおすすめします。
シロアリの被害が疑われる状態で長い間放置していると、木材の内部が空洞化してしまい、ウッドデッキの崩壊の危険があります。また、すぐ近くにある家屋にもシロアリが移ってしまう恐れもあります。早めに解体するに越したことはないでしょう。
道具
ウッドデッキの解体作業は、くぎ抜きと木材剥がしおよび木材の裁断が中心になります。そろえるべき工具もそれに伴ったものですが、手袋などの体を守る装備もしっかりと用意しておくようにしましょう。
・作業着
・手袋
・安全靴
・インパクトドライバー
・バール
・ハンマー
・電動ノコギリ
・丸ノコ
雨風にさらされて錆びついてしまったネジや釘を抜くのは大変です。インパクトドライバーやバールを駆使して抜いていきます。
最終的に解体した木材は、電動ノコギリや丸ノコで切断して細かくします。チェーンソーよりも扱いやすく、音も比較的静かなので使いやすいでしょう。
手順
ウッドデッキの解体手順は、当然ながら「組み立てた順序の逆」を行えばいいのです。
まずはラティスや板塀を取り外し、床材の留め具をひとつひとつ外していきます。
留め具は、釘が使われている場合はバールで、ネジが使われている場合は電動ドライバーで、それぞれ外していきます。風にさらされ、すっかりさびついた釘やネジは外すだけでも難航するものが多いでしょう。どうしても外れない場合は、とりあえずついたままにしておきます。
留め具を外したら、バールで床材を一枚一枚外していきますが、このとき、外せなかった留め具も一緒に引きはがしてしまいましょう。
すべての床材を剥がし終わったら、骨組みを解体します。
最後に、束石や床束を撤去して完了です。あとは解体した木材を小さく切り刻む場合は電動のこぎりで作業しましょう。
工程は少なく、手順自体に難しいことは何もないですが、素人には慣れない作業も多いでしょうし、電動工具も危険がいっぱいです。くれぐれも油断することなく、慎重に作業を進めてください。
ウッドデッキを自分で解体するときの注意点
ケガに気をつける
ウッドデッキの解体は、比較的難易度は低いといえますが、それでもやはり大きくて長い木材、重くて使い慣れない工具、普段しない作業など疲れを覚える部分が多く、油断すると大きなケガにつながりかねません。
また老朽化した木材は、とげやささくれが出ていたり、抜き忘れた釘やネジが飛び出していたりして、軍手をしていてもケガをすることがあります。
細心の注意を払うとともに、くれぐれも無理な作業はしないようにし、少しでも不安を覚えたら専門業者に解体を依頼することも視野に入れておきましょう。
廃棄物処理の注意点
ウッドデッキを解体して発生する廃棄物は、ほとんどが木材です。
木材の処分方法は各自治体によって違いますが、「規定の大きさより小さい場合は燃やせるゴミ、それ以外は産業廃棄物として専門の業者に収集してもらうこと」という決まりになっているところが多いようです。
運搬するにしても、木材を細かく切断しておくことは必要になるため、いずれにしても電動ノコギリでしっかり適切なサイズにしておきましょう。
また、木材は燃えるからといって庭などで勝手に燃やしてはいけません。廃棄物処理法に違反してしまいます。必ず正規の手順に沿って処分するようにしましょう。
木材ほど多くはありませんが、釘やネジ・ボルトといったゴミも発生します。これらは家庭ゴミの燃やせないゴミとして処分できるところが大半ですが、自治体によっては資源ゴミとして回収しているところもあるため、こちらもあらかじめ確認しておく必要があります。
そして束石は、コンクリートブロックやレンガでできています。これらは家庭ゴミでは処分できないため、専門の業者に依頼することになるでしょう。
とにかく廃棄物は丁寧に分別するところから始まります。それぞれの行き先をきちんと知り、正しい分別・正しい処分を心がけてください。
まとめ
・設置してずいぶん年月が経っている・老朽化の症状が見えてきた・シロアリ被害に遭っている、といったウッドデッキは、通常の使用でもかなり危険な状態。解体を検討する目安となるだろう
・ウッドデッキの解体は決して難しくはないし、工程も多くはないが、慣れない工具・慣れない作業で予期しないケガをする可能性は十分考えられる。慎重に作業を進めたい
・ウッドデッキの解体で発生する廃棄物は、木材が中心になる。燃やせるゴミで分別できるようにするためには細かく切断しなければならないなど、各自治体で廃棄のルールは異なるので、きちんと確認しておくこと。釘やネジなどは燃やせないゴミ、コンクリートや煉瓦は専門業者に収集してもらうことになるのが一般的。
ウッドデッキの解体は、比較的簡単に思えますが、くれぐれも無理なく慎重に進めてくださいね。